出荷された胡蝶蘭が花屋に並ぶまでの流通の仕組み

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慶事などで胡蝶蘭を贈ったり、もらったりしたことがある方もいると思います。また最近では可愛らしいミディ胡蝶蘭などを売っている花屋も見かけ、自分用に買われる方もいらっしゃいます。
そんな花屋に並んでいる胡蝶蘭ですが、どのようにして生産者から花屋へと流通しているのかご存知ですか。生産農家から花屋の店頭に置かれるまでに、どんな経路をたどり何日かかるのかは、あまり知られていないかもしれません。

そこで今回は、生産農家から出荷された胡蝶蘭が、花屋の店先に並ぶまでの流通の仕組みについて紹介したいと思います。


胡蝶蘭が出荷されるまでには4年もかかっている


いきなり驚きの事実なのですが、胡蝶蘭は苗の状態まで育つのに約2年程かかります。フラスコの無菌状態で培養や移植を繰り返しながら環境管理し、発芽させます。そのままフラスコの中で、苗の状態まで成長させます。ここまで2年程かかり、花屋に並ぶのはまだまだ先のことです。

多くの生産農家はここまでの工程を、胡蝶蘭栽培の先頭を走っている台湾など海外に委託し、苗を輸入しています。

生産農家は海外から輸入した苗を専用の温室で管理し、温度、湿度、水などを調整しながら胡蝶蘭を育成、開花させます。1年中最低気温や最高気温を管理するため、夏と冬は冷暖房が欠かせません。輸入した苗を開花させるまでに、また約2年程かかります。

ここまで合計4年程の期間をかけて育った胡蝶蘭が、生産農家からみなさんの手元に届くべく出荷されることになります。


胡蝶蘭が出荷されてから花屋に並ぶまで


出荷された胡蝶蘭は、まだ花屋には届きません。以下のような流通形態をとることになります。

生産農家 → (農協) → 花市場 → 卸売業者 → 販売店(花屋) → 消費者

まず生産農家から出荷された花は、花市場へと運ばれます。花市場は、花の競りが行われる場所です。
次に、競りにかけられた花を、卸売業者が仕入れを行います。卸売業者は、問屋的な役割を持ちます。
次に、花屋などの販売店が卸売業者から花を仕入れます。何店舗も運営しているような大きな販売店であれば、卸売業者を経由せず花市場から大口の仕入れを行えます。しかし小さな花屋だと欲しい分だけ小口の仕入れを行いたいため、花市場ではなく卸売業者を利用し仕入れを行っています。
ここでようやく花屋に胡蝶蘭が並ぶことになります。

生産農家が胡蝶蘭を出荷してから、多くの業者の手を渡ってようやく花屋に胡蝶蘭が届いていることが分かっていただけたと思います。

この業者同士が取引している間(花屋に胡蝶蘭が並ぶまで)に、5日くらいはかかってしまいます。せっかく元気に育った胡蝶蘭が、花屋に並ぶ頃には少し元気がなくなってしまいそうな気もします。


新たな流通形態の登場「生産農家から直接買える」



胡蝶蘭の流通を紹介しましたが、最近では新しい流通の仕組みが広がりつつあります。
それが、花屋で買わずにネット通販を利用して胡蝶蘭を購入する仕組みです。胡蝶蘭の生産農家が直接ウェブサイトを持ち、一般の人がそこから買える仕組みをつくっています。

こうすることで仲介の業者を省くことができ、以下のような流通形態になります。

生産農家 → 消費者

ネットショッピングでは直に花を見て買えない難点はあるものの、鮮度も高く、値段も安いことから、この新しい胡蝶蘭の流通形態が広まってきているのかもしれません。
通販サイトなどを見ていても「産地直送」「生産農家直送」ということをうたっているサイトはいくらか見受けられます。直送を行っている通販サイトを紹介していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

いかがでしたでしょうか。
今回は生産農家から出荷された胡蝶蘭がどのようにして花屋に並んでいるのか、また新しい胡蝶蘭の流通形態についても紹介してきました。花の流通はある日突然変わる可能性があります。今回紹介したようなネットショッピングの普及によるものや、法律の改正、花市場の整備などで様々に変化していきます。胡蝶蘭の流通形態も、引き続き時代と共にどんどん変化していくのではないでしょうか。

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