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《俳句》季語として胡蝶蘭は使えるのか?
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みなさんは俳句を詠んだことがありますか。俳句は、TBS系バラエティー「プレバト」でも取り上げら、人気コーナーになったように、短い言葉で情景や感情を伝える日本の定型詩です。
好きな人は俳句教室や地元のコミュニティーなどに、週一回程度集まっていると聞きますし、プレバトの俳句の先生である、夏井いつき先生の本はとても売れていると聞きます。そんな人気の俳句に胡蝶蘭を登場させた場合、いったいどの季節になるか考えたことがありますか。
そこで今回は、俳句の季語と胡蝶蘭の関係を紹介したいと思います。「コ・チョ・ウ・ラ・ン」音にすると五文字、なんだか俳句に使いたくなる気がしてきませんか。
俳句について
俳句で胡蝶蘭を登場させる前に、そもそも俳句って何?季語って何?という方のために、簡単に俳句とはどんなものかをご説明します。
|俳句で有名な人物(俳人)
俳句を詠んだことがない方でも、俳句を作る人(俳人)のことは誰しもが知っているはずです。名句を詠めるということで歴史に名を残すわけですから、凄いことです。
それでは、有名な俳人を一部ご紹介します。
俳人の一例 | 松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶、加賀千代女、正岡子規、種田山頭火、日野草城 |
|有名な俳句
俳人の中に、知ってる名前はあったのではないでしょうか。彼らはたくさんの名句を残していますので、そちらも少しご紹介します。
古池や蛙飛こむ水のおと (ふるいけや かわずとびこむ みずのおと) |
松尾芭蕉 |
閑さや岩にしみ入蝉の声 (しずかさや いわにしみいる せみのこえ) |
松尾芭蕉 |
菜の花や月は東に日は西に (なのはなや つきはひがしに ひはにしに) |
与謝蕪村 |
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 (かきくえば かねがなるなり ほうりゅうじ) |
正岡子規 |
|俳句とは?
ほんの一部しか紹介していませんが、聞いたことのある句はありましたか。先ほどご紹介した俳人たちによる有名な俳句ですが、それぞれ共通した部分があり、それが俳句の特徴ともいえます。
上記の句を俳句たらしめている理由、俳句とは何なのかを箇条書きでまとめました。
- 基本的に五・七・五の韻律で詠まれる定型詩
- 基本は「季語」を入れる
- 一か所必ず切れがある
- 余韻を残す
以上が、俳句の特徴でもあり、俳句と呼ばれるための条件となります。では、皆さんも聞いたことのある「季語」に胡蝶蘭は当たるのか、はたまたどの季節になるのかを徐々に説明していきましょう。
|季語の存在
先ほどご説明したものの中で、俳句には基本的に「季語」というものが入っていると紹介しました。。季語とは特定の季節を表す言葉のことで、季語が春夏秋冬の季節を示す語としてよみ込むように決められています。いくら五・七・五の韻律で句を作ったとしても季語がなければ、それは川柳や標語と括られてしまうかもしれません。
当然この季語には、花の名前が使われることが多々あります。やはり、季節と花は結びつきが強く、イメージを想起させてくれます。
花が季語として使われる例 | |
春の季語 | 梅、桜、たんぽぽ、スミレ、藤、ツツジ |
夏の季語 | あじさい、蓮、バラ、ひまわり、牡丹、夕顔 |
秋の季語 | 朝顔、菊、コスモス、ホウセンカ |
冬の季語 | 山茶花、スイセン |
胡蝶蘭の季語はどの季節?
胡蝶蘭のあの美しい花姿の情景を句にして詠みたいと考えた方もいるかもしれません。では胡蝶蘭はどの季節の季語になるのでしょうか。
俳句において「蘭」の季節は「秋」とされています。とはいえ、これは「蘭」の場合であり「胡蝶蘭」ではありません。実は、胡蝶蘭は季語としての役目を果たしません。
これだけ日本で一般的に贈られる文化のある胡蝶蘭の花が季語になっていない理由は、2つは考えられます。1つ目は、日本に自生していない花だということです。自然の写生に入ってこない花は季語にならない原因と考えられます。2つ目は、温室栽培の技術進歩により、一年中花が出回り、花の開花期間も長いことが考えられます。開花時期だけでなく、ある時期にだけに贈られる花などは季語になったりもしますが、胡蝶蘭はこれに当てはまりません。このため、胡蝶蘭は俳句の季語にならないと考えられています。
ちなみに、洋蘭で俳句の季語になっているのは、カトレヤ(冬の季語)だけなのです。
いかがでしたでしょうか。
今回は、俳句の季語と胡蝶蘭の関係を紹介しました。胡蝶蘭が季語として使えるのであれば、華やかさ、凛とした美しさ、お祝いの雰囲気なども包括した言葉になる可能性があっただけに少し残念です。また、洋蘭ではカトレヤだけが季語として認定されているのにも理由があります。俳句では、名前を略すことを好まない傾向にあります。五音・七音の中に、シンビジューム、パフィオペディラムなどは使い勝手が悪く、シンビ・パフィオなどと略さなくてはいけなくなります。しかし名称を略すことが好まれない俳句にとっては、略さなければ使えない語は季語に認定されにくいのです。そう考えると、今後もカトレヤ以外の洋蘭が新しい季語になる可能性も少ないのかもしれません。